写真集/96頁
■280x220mm
■伊豆天城は小説や歌謡曲などで有名ですが、実際の天城にはブナの原生林が残されている自然豊かな森があります。複雑怪奇な形をしたブナや、きこのやカエル達が広瀬氏ならではの視点で撮影されています。 そこには不思議な森に迷いこんだような世界が広がっています。
■定価 2,800円 消費税・送料別途

■Photographer:広瀬敦司
■Printed in Japan 2008

 

広瀬敦司写真集:
天城

 天城は伊豆半島のほぼ中央にあり、万二郎岳、万三郎岳、小岳などをまとめて天城山と呼んでいます。標高1406mの万三郎岳は伊豆半島の最高峰。日本百名山でもあります。
 小説や歌謡曲で有名な天城は、ブナの原生林が残されています。太平洋側のブナを撮影してみたかったので、以前から気になる場所でした。
 天城の森を歩いていると複雑怪奇な形をしたブナに出会います。日本のブナは太平洋側のブナと日本海側のブナに分かれています。一見して分かる違いは日本海側が真っ直ぐな幹で、太平洋側が複雑な形の幹。比べるとまるで違う種類の木に思えます。天城のブナは太平洋側のブナの特徴がよく出ていますが、特別に複雑怪奇な木が多く感じられます。日本海側のブナのすらっとした木が並ぶ森より、天城の自由奔放に伸びたブナに魅力を感じます。
 天城の森を歩いていると、下草のスズタケが枯れ果てていることに気がつきます。ブナの森が下草のない光景は、とても変です。又、皮子平にあるマメザクラの群生地では、数本のマメザクラにしか出会うことが出来ませんでした。どちらも増えすぎた鹿による食害が原因とされていますが、なぜ鹿が増えすぎたのでしょうか。何か人間の影響も在るのではと考えてしまいます。天城の森にこのような変化が起きているとは想像出来ませんでした。
 太平洋側のブナは現存量が少なく、繁殖力も弱いと言われています。天城の森でもブナの幼木を見かけません。このまま地球温暖化が進めば植生が変わり、ブナの森が消えてしまうでしょう。
 今起きている天城の森の変化は私には何かの警告のように思えてなりません。

広瀬敦司 

著者プロフィール

1972年東京都東村山生まれ
日本写真芸術専門学校卒
フォトジャーナリスト樋口健二氏に師事

個 展

2000年15月 
 癒しの山高尾山展  オリンパスギャラリー
2004年18月 
 癒しの山高尾山2展 オリンパスギャラリー
2006年16月 
 高尾変奏曲  オリンパスギャラリー
2006年11月 
 高尾の四季  富士フォトギャラリー調布
2008年16月 
 天城        オリンパスギャラリー

写真集

 2005年17月  高尾変奏曲(海拓舎)

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