■或る時、西田幾多郎について書かれた本を読んでいました。ある講演会の中で「われわれの最も平凡な日常の生活が何であるかを最も深く掴むことによって最も深い哲学が生まれる」と述べてあり、私はこれを読んだ時、頭の中で「哲学」の言葉が「写真」と云う言葉に自然に置き換わり、衝撃を感じたことを昨日のように覚えています。
■その時以来、それまで以上に意識して自分の足元、生活の場・環境の中に眼を向けていくと、それまで気が付かなかった様々な「もの」のざわめきの声が聴こえるようになり、その確かな存在に気付き始めたのです。そしてそれらの存在そのものと同時に、次第に眼には見えない存在の奥にあるものに意識を向けるようになっていきました。それは必然的に自身の内部から湧きおこってくる意識と無意識そして抽象感覚として気付くようになり、「内的必然性」として実感するようになったのです。
■このような背景のもとに写真を通して自己を表現するのがこの写真集であり、これからの自己表現の方向性をも表しています。
浅香順一
著者プロフィール
1948年
千葉県松戸市生まれ
1973年 千葉大学工学部卒業
個 展
1998年12月 海老名市サティ文化ホール
1999年14月 秦野市画廊喫茶「木香」
2008年10月 京セラ コンタックスサロン東京
2002年 日本カメラ9月号 カラープリントの部金賞受賞
2004年 東京写真研究会 第89回 東研賞受賞
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